低周波治療器による火傷の何故
低周波治療器による火傷については、治療電流が流れすぎた場合に発生し、皮膚の個人差により、同じ電流値でも起きる人と起きない人がいます。電流値が多い、少ないというのは、皮膚単位面積当たりの電流値のことで、単位面積当たりの電流値が大きくなると、皮膚の組織がダメージを受けることになり、火傷といわれる症状が現れます。単位面積当たりの安全な電流値は個人によりばらつきがあり、また、同じ部位を繰り返して治療している場合はダメージが徐々に蓄積されるため、火傷しやすくなります。これらは、火傷といわれていますが発熱による高温のやけどとは異なります。
発生原因は次の理由が挙げられます。
- 治療中に電流値が、何らかの原因で増加した
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- 治療電流設定時に、導子コードの異常や導子コードの接触不良が原因で電気抵抗が大きくなっている状態で電流値を設定し、その後、治療中に電気抵抗が減少した場合
- 治療開始時、粘着ゲルが古くて電気抵抗が大きく、その後治療中に発汗などにより電気抵抗が減少した場合(粘着導子使用時)
- 治療開始時、粘着ゲルの粘着度が弱く、その後治療中に剥がれてきて通電面積が減少し、単位面積あたりの治療電流が増加した場合(粘着導子・普通導子使用時)
- 治療開始時、導子スポンジが渇き気味で電気抵抗が大きく、その後治療中に発汗などにより電気抵抗が減少した場合(普通導子、吸引導子)
- ホットパックとの併用で、発汗などにより皮膚抵抗が減少した場合(粘着導子使用時)、ホットパックとの併用は禁止
- 設定時の治療電流が多すぎた
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- 患者様の好みで強い刺激を与えるために出力を上げすぎた場合
- 治療開始時、治療電流計をモニタせずに出力調整ツマミの目盛りで出力を決定した場合
- 電極の皮膚への粘着や装着が不完全で、通電に有効な電極面積が減少している状態において、通常と同じ電流値に設定したため、単位面積当たりの電流値が大きくなった場合
- 設定時の治療電流が多すぎた
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- 患者様の好みで強い刺激を与えるために出力を上げすぎた場合
- 治療開始時、治療電流計をモニタせずに出力調整ツマミの目盛りで出力を決定した場合
- 電極の皮膚への粘着や装着が不完全で、通電に有効な電極面積が減少している状態において、通常と同じ電流値に設定したため、単位面積当たりの電流値が大きくなった場合
- 患者様の皮膚が通常の人より弱かった
治療時の導子に対する基本的な注意
- 1.粘着導子使用時
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- 粘着導子は消耗品のため、治療ごと(原則1回/1枚)に交換する
- どうしても再利用するときは、メンテナンス状態により2~3回にとどめ、その都度水を含ませたガーゼ等でゲル表面を清掃する
- 粘着力が弱くなった粘着導子は、接触状態が悪く集中電流が流れる可能性があり、皮膚損傷(特に火傷)の原因となるので、絶対に使用しない
- 粘着性が低下したゲルをマジックベルト等で固定して使うようなことは絶対にしない
- 導子コードの導子に挿入するピンは、月に1度はアルコールを含ませたガーゼ等で汚れを清掃する(汚れたまま使用すると接触不良を起こし、治療中に電流が増加し火傷の原因になる)
- 粘着導子と導子コードピンの結合が緩くなったものは通電が不安定になるため、新しい粘着導子に交換する
- ホットパックで導子装着部を加温すると、発汗などにより皮膚抵抗が減少し治療電流が増加して火傷の原因になるため、ホットパックを併用しての電極部の加温は絶対にしない
- 2.普通導子・吸引導子使用時
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- 吸引導子スポンジの水分量に注意し、毎回の治療前には必ず確認する
- 特にミニ吸引スポンジは保水量が少ないので注意する
- 厚みが薄くなったスポンジは、新しいものと交換する
- スポンジは清潔を保つ
- 消毒が必要なときは熱水(80℃10分)もしくは煮沸消毒にて実施する
- 古くなった導子コードは新しいものに交換する(修理して使うことは絶対しない)
- 導子コードのプラグが機器本体及び導子のジャックに確実に挿入されていることを確認する(接触不良により電撃を受ける可能性があるため)
その他、取扱説明書に記載の「導子使用上の注意」に従い、適切なご使用をお願いします。
治療電流設定時の基本的注意
- 治療電流の設定は、電流表示計があるものについては、電流表示を目安に出力設定を行う(ツマミの位置を目安にすると、導子の通電状況により治療電流が大きくばらつくため)
- 患者様の状態を良く見ながら出力設定を行うこと。治療中も患者様の状態をよく確認し異常が有れば直ちに治療を中止すること
- 治療電流の設定は電流を控えめにし、強い刺激を望む患者様には、治療は適切な電流値で効果があり、それより多すぎても逆効果になることを十分説明して納得していただく
また、治療中異常を感じたら遠慮なく申し出るよう指導する
特に、毎回の治療において同じ部位を繰り返し治療される場合は、皮膚のダメージが蓄積されて火傷に至ることもあるので、電流値はより少なめに設定する